皆さん、ヴィーガンってご存じですか?聞き慣れない言葉かもしれませんね。日本語に訳すと、完全菜食主義者、というそうです。最近は、ヴィーガン料理のお店も増えてきたようですね。ハリウッドスターなどの欧米セレブのあの人もヴィーガン、この人もヴィーガン、と話題になったり。しかも、2020年のアカデミー賞の昼食会や受賞前に提供された料理が100%ヴィーガン(完全菜食主義)対応の料理になったとのことです。
では、ヴィーガンって本当に健康にいいんでしょうか?デメリットってないんでしょうか?20代前半から30代前半まで、10年程ヴィーガンをやっていた私が実体験から考えたことを書きます。ヴィーガンって実際どうなの?と思う方に、ひとつの体験談として考える一材料になればと思います。
結論:体にはよかったが社会生活上不便はあった。
現在40代前半ですが、結論を言うと、私が感じるメリットは次の3点です。
- スリムになった。
- 肌つやが若々しいといわれる。
- 髪の毛が黒黒していて剥げてもいない。
健康上は今のところはメリットを感じています。
一方で、デメリットとして感じたのは次の2点です。
- 他人と外食をするときにヴィーガン食という選択肢がない。そのため、ヴィーガンを貫こうとして外食を断ったり、外食時に野菜しか食べず、外食嫌いになる。人間関係かヴィーガン貫徹かの選択に悩み、その結果、食事を通じての人付き合いが苦痛となる。
- 痩せすぎて、拒食症などでないかと心配される。
特に、人間関係上のことが、年齢が進むほど大きく感じるようになり、今では、時々は普通に刺身や焼き肉を楽しんだり、外食では肉料理も含め周りの人と同じようにいろんな料理を楽しんだりしています。
ヴィーガンってそもそも何?ベジタリアンとの違いは?
そもそも、ヴィーガンって何かというと、動物性のものを一切とらない、という食生活をする人たちのことです。
ベジタリアンってのも耳にするけど、ベジタリアンとヴィーガンってどう違うの?と思う方もおられるかもしれません。ざっくりいえば、ベジタリアンにも徹底度がいろいろあって、その中でも一番徹底しているのがヴィーガン、ってところでしょうか。
ベジタリアンといっても、どの程度徹底しているかによって様々な呼び方があるのをご存じですか?実はベジタリアン、という呼び方はとてもざっくりした分け方で、以下のようにいろいろなパターンがあります。
ラクト・オボ・ベジタリアン (卵乳菜食) | ラクト・ベジタリアン (乳菜食) | ヴィーガン | フィッシュベジタリアン | 江戸時代以前の日本人 | |
---|---|---|---|---|---|
植物性食品 | |||||
乳・乳製品 (牛乳や チーズetc) | 食べる人も いる | ほぼ食べず | |||
卵 | 食べる人も いる | 貴重品 | 精のつく食物|||
魚介類 | |||||
牛・豚・鶏肉など |
- ラクト・ベジタリアン(乳菜食):植物性食品と乳・乳製品(牛乳や チーズetc)などを食べる。
- ラクト・オボ・ベジタリアン(卵乳菜食):植物性食品と乳・乳製品・卵を食べる。卵も食べるのが①と違う。
- ヴィーガン:乳製品・卵、蜂蜜などの動物性食品を一切食べない。
ということが、ウィキペディアや日本ベジタリアン協会のHPに書いてあります。
そのほかにも、私が以前読んだ本には、
4. フィッシュベジタリアン:植物性食品と魚介類を食べる。明治時代になる前の日本人のほとんどがこのタイプ
みたいなことが書いてあって、「へぇ~、日本人って昔からベジタリアンだったんだ~。じゃあ、体質的にもベジタリアンが向いてそうじゃない?」って思ったのを覚えています。
江戸時代以前の日本人とフィッシュベジタリアン
江戸時代の日本人は、今で言うフィッシュベジタリアンとはまた微妙に違っていたようです。
江戸時代は、乳製品はあまり食べられていなかったものの、卵については、たまご売りの行商がいたり、「卵百珍」のような料理本が出ていたりすることから、食べている人もいたようです。精のつく食物として扱われていたようです。ただ、貴重品という扱いだったそうなので、食べられる回数は少なかったと思います。
一方、現代のフィッシュベジタリアンといわれるタイプの人たちの中には、植物性食品+魚介類というだけのタイプの人たちもいれば、それに加えて乳製品や卵も食べるタイプの人たちもいるようです。
ちょっと横道にそれましたが、このように、ヴィーガンというのは、肉も魚も乳製品も卵もとらない食生活を送る人たち、と考えて頂ければいいと思います。
私のヴィーガン体験談
では、私のヴィーガン体験談に話を移しましょう。ここで注意していただきたいのは、これはあくまで私の個人的体験です。体質やそれまでの食生活、個人の趣向により体への影響や感じ方は人それぞれですので、あくまで、1個人の体験談として、「へぇ~、実際そうやってヴィーガン生活を過ごした人もいたんだ~」くらいにとらえてください。実際にご自分でやるかはご自分の体調や置かれた環境も考慮して慎重に判断してください。
私は、20代前半に、ベジタリアンをやっている人たちと出会ったり、自然食品店などでマクロビオティックやべジタリアン関係の情報に触れてなんとなくベジタリアンに興味を持ち始めました。そして、書店や図書館などでベジタリアンに関する本をありったけ読み、トップアスリートや著名人でも採用していることがある、まっとうな食事法だということを知りました。さらに、世界の長寿研究についてのフィールドワークについての本や日本の伝統食についての本も読み、健康長寿に有効なのは、どうも運動と適切な食生活と人間関係らしい、とおぼろげながらつかむことができました。
そして、日本人の伝統的な食生活は、野菜、穀物中心で、時たまハレの日に油揚げや魚などを食べたりするくらいで、肉は相当限られた人しか食べられなかったということも学びました。
ということで、20代前半に自分が納得いくまで情報を集めた結果、肉、乳製品、卵は不自然だろう、と思うようになり、ヴィーガン生活を自然な流れですることになりました。
意識していたこと
ヴィーガン生活で不足するのは油分とビタミンB12だと、当時の本には書いてありました。
ナッツを多めに取る
油分は酸化するから自然な状態で摂取したほうがいいとのことだったので、ナッツを多めにとるようにしました。市販のナッツは塩分が添加されているものが多く、それだと塩分の取りすぎになるので、塩分無添加、オーガニックのものを通販で買ってとるようにしました。これが結構高くつくんですよね。
主力は、くるみ、アーモンド、カシューナッツです。それぞれ、ナッツの香ばしい風味がして、単体でつまんで食べても、ちょっと刻んでサラダに混ぜたりしてもヘルシーで美味しい。
サンフラワーシード(ひまわりの種)は、粒が細かくて、風味もそれほど甘みや香ばしさもなく、単体で食べると物足りないです。でも、もともと粒が細かい為、サラダに入れる際に刻まなくてもすぐ使えるので、使いやすさ抜群のナッツだと思います。ナッツとしての癖も少ない分、いろんな味に合わせやすい、行ってみれば名脇役のようなナッツだと思います。
ピスタチオもサラダに合いそうな風味をしています。ナッツでは珍しい、グリーンという色もアクセントになってなかなかサラダ向きです。殻をむくのが面倒なのと、刻まないといけないのが面倒ですが。
ちょっと特別感のあるナッツとしては、ピーカンナッツ、ヘーゼルナッツ、パンプキンシード(かぼちゃの種)、松の実なんかもあります。ここらあたりは、食べ過ぎると頭がのぼせるんじゃないかと思うような強い力のあるナッツだなと思います。
なるべく生で買う
ナッツは、ローストして売られているものと、生で売られているものとがあります。
ローストしてあるものは生のものより香ばしくて食べて美味しいのですが、酸化が気になります。健康という観点からすると、生のほうが好ましいかなと思って生で買っています。
ミックスして使う
私は、このように、単品で売っているナッツを買い、自分好みの割合で複数のナッツをミックスして食べています。予めミックスされているものは何となく割高感があるからです。
ただ、面倒くさい方は、最初からミックスされているものを買ってもいいと思います。
ビタミンB12に注意する
ビタミンB12については、味噌や藻類や玄米にも含まれているとのことだったので、味噌をご飯にのせて食べたり、昆布・ヒジキ・わかめ・青のり・海苔など何らかの海藻を意識してとるようにしたり、玄米を焚いて食べるようにしたりと工夫しました。
海藻類を意識して取る
ビタミンB12対策ということや、海のものだから陸上のものにない栄養がとれるだろうということから、昆布やわかめ、もずく、ひじき、青のり、などの海藻類を意識して取るようになりました。
昆布は、何かを煮たり炊いたりするときにさっと入れることができるので、なにげに便利だということに気づきました。
また、わかめは、乾燥わかめなどはさっと水で戻して使えるし保管も長期間できるので、なかなか便利な食材です。
塩蔵わかめなどは、生わかめほどみずみずしくはないけれど、保存が効き、乾燥わかめよりもずっと肉厚で美味しいわかめを食べられるので、よく食べていました。
ひじきなども、さっとつかえるし、大豆との相性もいいので使いやすいです。
もずくはちょっと高級品というイメージがありますね。
青のりは、ちょっと振りかければ手軽に磯の風味を味わえるのでいろんな料理に使えます。
ヴィーガンをしたメリット
それは、個人的には、
- 体重が減る
- 髪の毛が黒々
- 肌も若々しい
ことだと思います。
体重が減る
まず、体重が減りました。動物性食品はカロリーが高いから、動物性食品をなくして野菜中心にすると、てきめんに体重減少に効果がある、というのが実感です。30代半ばにヴィーガン生活に例外を作るようになってから、年末年始にごちそうを食べたりしたときは、ボンと一時的に体重が増えます。これによって、ヴィーガン生活がいかに体重減少に貢献しているかを実感し、また普段の野菜中心の生活に戻っていく、という感じです。
髪の毛が黒々
そして、20代前半から30代前半までの10年間続けたことで、40代前半の今も髪の毛が黒々、はげてもいません。先日いとこにそのことをいったらびっくりされました。でも、少しずつは毛の量が減ってきているようには感じます。それは年齢とともに仕方ないのかな。あと、30代中頃から少しずつ肉や魚なども食べるようになっていきましたしね。
肌も若々しい
また、肌も若々しい方だと思います。年齢よりずっと若く見られることが多いです。40代になるとうれしいんですよね。若く見られると。ただ、これは、なるべく紫外線を避けようと、外に出るときはなるべく帽子をかぶったりしていたことも影響しているかもしれません。
ただし、因果関係は不明
このようなメリットがあったと自分は思っていますが、もともとそういう傾向の体質だったのかもしれませんし、それ以外の生活習慣にもよるのかもしれません。
厳密な因果関係は不明です。同じようなヴィーガン生活を若い頃から続けたからといってこのようなメリットを享受できるかはそれこそやってみなきゃわからない、という側面も否めません。
ヴィーガン生活のデメリット
では、次に、ヴィーガン生活のデメリットに行きましょう。ヴィーガン生活のデメリットとして感じたのは、次の2点です。
- 人間関係
- 体重の減りすぎ
人間関係
まず、一番のデメリットは人間関係です。
外食はどこもかしこも動物性食品であふれています。動物性食品を一切使っていないお店といったら、まさにヴィーガン食を売りにしているところだけ。せいぜいお蕎麦くらいです。お蕎麦だって、正統なヴィーガンからすれば、鰹だしを使っている時点で動物性食品を使っている、というのでアウトです。ま、私は、そこまでは厳格にしなくてもいいかな、と思うのでお蕎麦はOKだと思って食べたりしていましたが。豚骨ラーメンや牛丼、唐揚げ、などはもちろんだめ。はてはスパゲッティだって、ミートソースには挽肉が入っているし、ホワイトソースには牛乳が入っているし、アサリが入ってるパスタや小さいハムがぱらぱらと入っているパスタや、、、と考えると、スパゲッティもだめ。なかなか難しいですよね。というわけで、ヴィーガンは夜の外食には大変不向きです。
で、外食に誘われても行くか行かないかにたいへん神経をすり減らすわけです。どうしても行きたいときは行くけど、そこでまた、食べる食べないに神経を使います。これは食べられそう、これはちょっと入っているけどいいか、などなど、周りの人に気づかれないように食べるものを選別します。たぶん、周りから見れば控えめな食べ方で、悪い思いはされないでしょうが。でも、あまりに食べるのが少ないと、心配されたり、「これ食べたら?」と食べ物をよそってくれたりしてしまうので、ほどほどに食べた方がいい、というのを経験から学びました。メンバーの性格にもよるでしょうけど。
どうしても会いたい人がいるわけでない場合は、そこまで苦労してまで出席しなくてもいいか、という感じで断ることも増えます。あまり食べたり飲んだりしないのに割り勘になるとそれだけでも金銭的にも損した気分になりますしね。
体重の減りすぎ
あともう一つは、体重の減りすぎです。久々に会った人に心配されたこともありました。だいぶイメージ変わったね、と。
一番ぽっちゃりしていた時代を知っている人だとなおさらです。
たぶん厳格に動物性食品を避けるヴィーガン生活を続けていたからでしょう。
十分満足感のある質と量を食べていたという認識だったにも関わらずです。
体重を減らしたい!という方は、ヴィーガン生活を少し取り入れるだけでも体重を減らすのに役立つかもしれません。その他の生活習慣にもよるでしょうが。
その後
30代前半までヴィーガンをやっていましたが、人間関係のことや、体重が減少しすぎたこともあり、時々は動物性食品を食べるようになりました。
そうすると、気楽に外食の場に出られるようになりました。人生の満足度をトータルで見た場合、健康もさることながら、人間関係も大事です。健康と人間関係とのバランスをとりながらのやり方の方がストレスが少なくできるので今はそうしています。
また、時々動物性食品を食べるようになってから体重も多少増えました。食べ過ぎて増えすぎたときは手遅れにならないように節制モードに戻ります。
まとめ
以上をまとめますと、ヴィーガン生活のメリットは次の3点です。
- 体重が減る
- 髪の毛が黒々
- 肌も若々しい
一方、ヴィーガン生活のデメリットは次の2点です。
- 人間関係
- 体重の減りすぎ
そんなこともあって、今は、普段はヴィーガンっぽく生活していて、時々動物性食品も食べる、といったスタンスに落ち着いています。
人それぞれ、体質も、育ってきた過程も、趣味嗜好も様々です。皆さんも、ご自分の体に合った食生活を見つけられて、幸せな食生活を手に入れられることをお祈りしております。
読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
コメント