「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」のあらすじと感想 前編

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「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の動画を見ました。次回作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開が延期されたので、次回作を見るときに話の続きを思い出しやすいよう、要点を書き残しておきたいと思います。また、現時点での私の感想も書いておきたいと思います。ネタバレを含みますので、ご了承ください。

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目次

物語スタート 宇宙での戦闘

映画はいきなり宇宙での戦闘から始まります。迫力あるのですが、何が何だかわかりません。

宇宙と赤い地球が出てきます。2号機も出てきます。アスカでは敵に敵わず、「なんとかしなさいよバカシンジ」と、馴染み深いフレーズをアスカが言うと、初号機が反応して敵をやっつけます。アスカも流石に初号機が勝手に動くところまでは期待していなかったらしく、驚きます。初号機の目が赤くなってぎょろっと見つめてくるのに私は驚きました。アニメ版で初号機の目がぎょろっとシンジを見た場面を少し思い出しました。

カヲル君が少し出てくる場面があり、「お帰り、碇シンジ君、待ってたよ」と言うようなことを言います。カヲル君がちょこちょここんな早い場面で出てくるのがアニメ版と違うなーと思いました。アニメ版を見た人には引っ掛かる場面です。

色々変わっていることに少しづつ気づいていく

戦闘が終わり、色々と変わっていることに私は気づいていきました。まず、シンジの目覚めの場面に女性がいます。シンジの意識を確かめています。

また、リツ子、ミサトなど、懐かしい面々も変わっています。リツ子は短髪になり、最初はリツ子かわかりませんでしたが、目の下のホクロでリツ子だとわかりました。ミサトはサングラスをかけていて、艦長と呼ばれています。なんだか怖くなっています。艦長という、全員の命を預かる立場上、厳しく怖くなってしまうのかもしれません。シンジの首には首輪がつけられています。

一緒にいる仲間も変わっています。なんだかやる気なさそうな人もいます。以前は上位下達の一枚岩のようでしたが、今回は微妙に寄せ集め感が漂います。大丈夫かなこの人ら、と思いました。個性尊重、ゆとり教育になってからしばらく経った、という、映画公開当時の時代背景が影響しているのかな、とも思いました。

どうやら、ブンダーという戦艦に乗っていて、以前属していたネルフとは対立しているようです。

碇シンジ君、あなたはもう何もしないで。

そんなことそんなことを思っていると、使徒が襲来します。シンジはエヴァに乗せてと言います。でも、ミサトはシンジにいいます。「碇シンジ君、あなたはもう何もしないで。」というようなことを。これは今までとは真逆です。これまではシンジは乗りたくもないエヴァに無理矢理乗せられていました。それが、今回からはエヴァに乗せてもらえないのです。

そして、みんなが乗っている戦艦、ブンダーが初号機を動力源にして活躍します。鳥のように変形します。使徒を撃退します。周りには飛ぶ船を従えています。船が空を飛ぶ話になっています。

その後説明があります。首輪は贖罪としての首輪であり、シンジがエヴァに乗ろうとするとシンジは死ぬそうです。シンジをお世話してくれたのは、鈴原さくらといい、鈴原トウジの妹だと説明されます。そして、前回の映画、「破」の世界から14年が立ったことが明かされます。シンジやアスカが歳を取らないのはエヴァの呪縛だとのことです。エヴァにのると歳を取らないのだそうです。これは新しく出てきた設定です。

アスカがガラスの向こうからシンジを殴ろうとします。これは、零号機がゲンドウを殴ろうとした場面を彷彿とさせました。エヴァシリーズでは人を殴ろうとかするのはある意味愛の深さの裏返しのような、例えば嫉妬とか感情が高まったが故の行き場のない感情のやりどころとかそんな意味があるんじゃないだろうかとなんとなく感じているのですが、ここもそんな意味合いがあるのでしょうか。

2号機で助けたはずの綾波レイは、「存在しない」と言われています。レイがそのときに持っていたSDATはあります。ということは、レイを助けたのは確かです。レイは初号機に吸収されたままだと思われます。

零号機からのレイの声

そんなことをしているうちにレイの声がします。「碇君、どこ?」シンジはミサトたちが「だめよシンジ君、ここにいなさい」「レイはもういない」と止めるのも聞かずにその声のする零号機に乗っていきます。怖さを感じる場面ですね。まるで亡霊に誘われていくかのような。生者のいる世界から死者のいる世界へ行くような、そんな怖さを感じる場面でした。

「エヴァにだけは乗らんでください」「トリガーとしての可能性がまだあるということ」などの言葉から推測すると、どうやら、シンジがエヴァにのるとまたやばいことが起きそうな、そんな予感がします。でも、ミサトは首輪のボタンを押すことはできませんでした。

アスカの決まり文句が変化しています。「ガキね。」です。今までは、「バカシンジ」でしたが、「ガキね」に変わっています。どういうことなんでしょう。シンジや私たち視聴者に知らされていない大人の事情があるかのようなセリフです。どんな事情があるのか、楽しみなところです。

レイやカヲル君と会う

零号機に連れて行かれた先は、かつてネルフがあった場所と思われます。もう今は廃墟のようになっています。綾波がいて「09」という数字が入った黒いプラグスーツを着ています。一緒に地下へ降ります。この場面は、シンジがアニメ版第1話でミサトと地下へ降った場面を思い出しました。

ネルフ本部の地下では、カヲル君がピアノを弾いています。で、シンジと視聴者とのミスマッチが起きるのがこの場面。視聴者はカヲル君を知っているけどシンジは知らない。でも、私たちは、これからこの2人が仲良くなるんだろうな、でもシンジにとって辛い別れが待っているんだろうな、ということを予想します。

で、13号機という新しいエヴァにシンジとカヲルとでのる予定だということを聞きます。

シンジはゲンドウに話したいことがいっぱいあると言っても聞いてもらえません。寂しいだろうな、と思いました。

食事は半固形の流動食みたいな食物の形がない食事です。人間ぽさがなくなった場所だなと思いました。今後科学が進んでも、人間ぽさがなくなってはいかがなものかと、ふと無関係ですが思ってしまいました。

壊れていて誰もいないネルフ本部。人工の手が製造されている場面が出てきます。どうやら稼働はしているけど、人造人間製造所か何かでやばいことに使われているんじゃないかと想像できる場面がありました。

綾波レイの部屋での出来事

綾波レイの部屋へ行きます。SDATを持ってです。SDATのことで話をしますが、レイは以前いたレイと違う様子。ここで、またシンジと視聴者との認識のミスマッチが起きています。視聴者はレイはクローン人間だと知っていますが、シンジは知らないのです。レイなら知っているはずのことを言っても知らないという。

極め付けは、「好きって何?」というレイの言葉。ガーンというシンジのショックを示すような効果音が流れます。

ゼーレでの場面

冬月とゲンドウ。彼らの思惑通りことが進んでいくようです。「ユイくんのために」冬月の言葉は、冬月がなぜこうまでしてゲンドウに従うか、そのヒントを与えてくれているように思いました。

悩むシンジ

鈴原さくら「エヴァにだけは乗らんでください」

ゲンドウ「エヴァに乗れ」

「何に従えばいいんだ。」シンジは悩みます。真実がわからず、それゆえ、はっきりした決断ができません。視聴者も、この時点ではどちらに従えばいいのかわかりません。その中でも生きていき、決断しなければいけない時が来ます。

これは、時代が変わり、今までの常識が最も簡単に覆る現代、いろんな立場の情報を得やすくなったことでかえって迷いやすくなった現代に生きる私たちとある意味似た状況なのかもしれない、そんなことを思いながら見ていました。

カヲルーピアノーシンジ

ピアノがあります。シンジはピアノ初心者です。「僕には無理だよ」というシンジにカヲルがピアノを教えてくれます。「生きていくためには新しいことを始めることが大切だ」「弾いてみな」

シンジが一つ一つ音を出します。カヲルが途中から連弾に加わります。

シンジとカヲルが並ぶと、カヲルの白さが際立ちます。カヲルは死の象徴かな、なんて思いが浮かんできました。

シンジは楽しそうです。久しぶりに楽しかった。もしかすると14年ぶりの楽しさなのかもしれません。だって、14年ぶりに起きてみたら、周りは変わってしまって戸惑うし、ミサトやアスカからは厳しいこと言われるしレイもいないし周りからはエヴァに乗るなだの乗れだのどうすればいいんだってことを言われるし、で、心が休まる暇がなかっただろうと思います。

「2人って強いね」「またやろう」「いつでも来てよ」カヲルくんと心を通わせたかのようです。シンジの寂しさと無邪気さとが心に沁みます。そして、この後に悲しい別れが待っているだろうことを思うと切ない気持ちになりました。また、雰囲気をぶち壊すかもしれませんが、心の隙間に漬け込む詐欺師っぽいな、なんてことも思いました。

また、カヲルくんの「君と同じ、運命を仕組まれた子供」という言葉がどんな意味だろう、と疑問に思いました。シンジはレイのようにクローン人間なのか、はたまた、人間だけど人生の途中で運命を仕組まれる羽目になったのか、わかりませんが今後の展開を楽しみにしたいと思います。

朝早くから待つシンジ

シンジが朝早くからピアノの側で待っている様子が描かれます。そこまでカヲルくんとピアノ一筋になっていることに危うさを感じてしまった私ですが、シンジは気持ちよさそうです。

迷えるときに何か気持ちよさを与えてくれるものに依存してしまう危うさを表しているのか。深読みかもしれませんが、シンジの純粋さと何かに縋りたい気持ちとを感じてしまいました。

「どうしたらもっとうまく弾けるか」「気持ちいい音を出せばいい」「反復練習」「同じことを何度も繰り返す。自分がいいなと感じられるまでね。」真っ当なことを言っているように思えます。ただ、毎日音楽しかやることがないのは辛いなと思いました。

SDATを動くようにしてほしい。シンジはカヲルに頼みます。頼める、ってことは心を許した証拠だとして描かれているように思います。「任せて」「友達だから」カヲルはどういう気持ちで「友達だから」と言ったのでしょう。プロジェクトを遂行する上でその方がスムーズに行って都合がいいからでしょうか。カヲルの方も友情を感じてくれていたらと思いました。

星を見ようよ

「星を見ようよ」シンジがカヲルに提案します。シンジの提案にカヲルが驚くのは意外です。「星が好きなのかい」

一緒に星を見るって、非生産的です。生産性と時間の有効活用にこだわる人にとっては、なんの意味があるの?って行為かもしれません。私もなかなかそんなことに時間を使おうという気が起きません。

でも、心には残ります。私も、学生時代に友人たちと草の上に寝転んで星を見たことがあります。今でも、心に蘇ってきます。その後その友人とは離れ離れになってしまっても、こういう、夜空で寝転がって星を見る、という話が出てくると思い出します。その後、シンジがカヲルくんと離れ離れになったとしても、シンジは折に触れてカヲルくんとのこの夜の出来事を思い出し、心の支えにすることができるのではないでしょうか。好きになった人との思い出をその都度作り、その人がいなくなっても現実に対応して生きていこうともがくシンジ。一方、生命の法則を踏み越え、世界の現実を大きく変えてまでユイともう一度会いたいと進んでいくゲンドウ。いなくなってしまった人に対する向き合い方としてある意味対照的な2人の違いをここで思い起こしてしまいました。

映画に戻りましょう。「大きな宇宙。」「自分のことなんてどうでもいい気がしてきた。」「落ち着く」「うまく言えないよ」

「変化を求めずせめて無慈悲な深淵の世界へ。君らしいよ。」カヲルがいいます。これは変わってしまった周囲の変化に戸惑う孤独なシンジが、14年では変わらない宇宙に変わらない自分との同質性を感じて心の慰めにする。そんなふうに私には思えます。

カヲルも「2人で横たわるってこんなに心地いいとは思わなかった」と言ってくれます。意味深です。これまで月で1人で横たわってきたカヲル君。2人で横たわるのは初めてだったのでしょう。そして、そのことによる心のつながりも感じているようにも受け取れます。

「渚くんと星を見たら楽しいかと思って」照れながらシンジはいいます。起きてきて初めて心のつながり感じたであろうシンジ。穏やかだけど優しい時間です。

「僕は君と会うために生まれてきたんだね」一見、BL風の言葉ですが、深い意味はあるのでしょうか。孤独な月からきた少年、カヲルくんの心にも、地球の少年、シンジとの心の触れ合いは何か感じさせるものがあったのかもしれません。

世界に何が起こったのか知るシンジ

その後、世界に何が起こったのか知りたくなったシンジ。「その変化に耐えきれず辛いんだね」「そうだ、怖いんだよ」「知りたいかい?」カヲルくんから、世界に何が起こったか教えてもらいます。

ネルフの地下に降りて行きます。シンジは防護服でおっかなびっくり、カヲル君は普通の服で何事もないように降りて行きます。

カヲルくんはいいます。「生命は本来周りの環境に自らを適合させていく。だけど人類は周りの環境の方を人類に都合がいいように変えていく」これは今でも言われていることです。

さらにカヲルくんは続けます。「人工的に自らを変えていく」と。つまり、外側の環境を変えていくだけでなく、自らをもかえることに人間は踏み切ったと言うのです。「生命の実を与えた新たな生命体を作り出した」と。

ここで、エヴァの生物観が前提としてあります。エヴァの世界観では、生物=生命+魂 なのです。「生命の実を与えた新たな生命体」と言うのは、魂のない、単なる生命体を人間が人工的に作ったと言うことです。人間は科学の進歩により、生命の物質的な面を作ることはできるようになった、だけど、魂はいかなる科学の進歩によっても作れなかった、と言う設定なのです。

「破」の最後で起こったニアサードインパクトの結果、人類が大量絶滅したとのことです。全てのきっかけはシンジだと。

シンジはいいます。「そんなことを急に言われたってしょうがない」そうです。彼は、レイを助け出そうとしただけなのですから。これは、ある意味、死の淵から、あるいは死の世界から生物を生の世界へ引き戻そうとしたことの代償という意味で描かれているのでしょうか。

シンジは故意ではなく世界を破滅するほどのことをした。だからその代償が首につけられている首輪、というわけです。でもこれ、そもそもエヴァを作り、お膳立てしたのは大人たちです。シンジは大人たちのいう通りエヴァに乗って最善の行動をしたまでです。大人たちの罪を負わせられるのも歪んだ世界だなと思います。ババを引いた、とでもいうようなものでしょうか。

ゼーレのシナリオを書き換える

「ゼーレの少年(=カヲル)が第3の少年と接触」

冬月とゲンドウが出てきます。「ゼーレのシナリオを書き換える」と言っています。「あらゆる存在をそのための道具とする」とも言っています。カヲルをも利用する、という意味なのでしょうか。

シンジのSDATが28に進む場面が出てきます。さらに物語は展開するという意味だと思います。

冬月とシンジが将棋を打つ

冬月がシンジを将棋に誘い、シンジの母、ユイのことや綾波のこと、ゲンドウのことを言います。ここで、ユイの名字が綾波に変わっています。綾波ユイだったということです。アニメでは碇ユイでした。

冬月はこんな風なことを言います。「世界を崩すのは造作もない」が、「世界を作り直すのは難しい」なぜなら、「可逆性はないから」ここから、世界を作り直そうとしているんだとわかります。神が作ったとされる世界を壊し、自分たちで新しい世界を作ろうとしている、そんなことを想像しました。

ユイはコアへのダイレクトエントリーを自らが被験者となり試みた。ユイは消え情報だけが綾波シリーズに取り込まれた。

冬月は続けます。ゲンドウは「自分の願いを叶えるためにあらゆる犠牲を払っている」「自分の魂をも」、とのことです。ゲンドウも相当な覚悟で、いや、魂をも犠牲にしている?まさか魂と引き換えに何かをする取引を既にしているんでは?なんて想像します。何やら危険な匂いがします。

「あの時助けたよね」「知らない」

レイの部屋です。シンジがレイが好きだった本をたくさん持ってきますが今のレイはかつてのレイが好きだった本に見向きもしません。レイと話をします。「あの時助けたよね」「知らない」

グラングランするシンジ。「エヴァに乗れ」「乗らんといて」「何もしないで」いろんな人のいろんな意見が頭の中を駆け巡り、どうしていいかわからなくなるシンジ。見ている私たちもグラングランする画面に気持ちわるくなるかもしれません。

前半ここまで

長くなったので、続きは後編として書こうと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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