皆さん、紙でしか売ってない本を電子書籍のようにタブレットで読みたい!と思ったことはありませんか?
そんなときに、紙の本をタブレットなどで読むようにする手段が、紙の本を裁断してスキャンする、いわゆる「自炊」と言われる行為です。
でも、それって著作権などの関係で法律的にどうなの?と思われる方もおられるかもしれませんね。
そんな方に向けて、適法に自炊する方法を記事にしてみました。
- 紙の本を電子書籍にする方法でどれがいいか知りたい
- 違法にならないやり方で自炊したい
自炊(書籍の電子化)を代行業者に依頼することについての裁判例がある
いわゆる「自炊」(書籍の電子データ化)行為を自炊専門の業者に外注することは違法だ、という、知的財産高等裁判所の平成26年10月22日の裁判例があります。
ウィキペディアにも法的問題についての記載があります。
こちらは、この裁判例について詳しく解説した文献です。一応リンクを張りましたが、時間もかかるので、よっぽど興味がある方以外はあえて読む必要はないと思います。
この裁判例によると、要するに、裁断から電子化、OCR処理まで業者がすべて代行し、書籍の所有者は本を送って電子データを受け取るだけ、という形態は違法だ、ということになります。
では、適法にやる方法はないのでしょうか?
適法にやる方法
適法にやる方法には、大きく2種類あります。
- 全く外注せず、裁断、電子化まで全て自分でやる方法
- 裁断だけ外注し、電子化は自分でやる方法
です。
それぞれメリットデメリットがあります。
全く外注しない方法のメリット、デメリット
まず、全く外注しない方法について解説します。
全く外注しない方法のメリット
全く外注しない方法のメリットは、次の3点です。
- 好きな時に出来る
- 郵送などの手間がいらない
- 少量からでもやり易い
全く外注しない方法のデメリット
逆に、全く外注しない方法のデメリットは、次の6点です。
- 裁断機、スキャナー、OCR処理ソフトの全てを自前で揃える必要があ理、初期費用が多くかかる
- 裁断機が大きく置き場所をとる
- 裁断機の刃が錆びないようメンテナンスをする必要がある
- 綺麗にできるとは限らない。
- 裁断が失敗したら本をまた書い直さないといけない
- 裁断は電子書籍化の際にだけ必要なだけで継続的に必要なわけではない
裁断は電子書籍化の際にだけ必要なだけで継続的に必要なわけではない
特にデメリットの最後に書いた、「裁断は電子書籍化の際にだけ必要なだけで継続的に必要なわけではない」という点が大きいです。
電子書籍化を始めた時はこれまで紙ベースの書籍が溜まっていたのでそれを電子書籍化するために裁断機が活躍しますが、紙の書籍がなくなった後は電子書籍を買うのが主になるので紙ベースの書籍を買う機会が減ります。すると書籍を裁断する必要もなくなり、自ずと裁断機を使う機会も減ってきます。つまり、裁断機をよく使うのは紙ベースの書籍を電子化する最初の場面だけで後は活用する場面がほぼなくなる、という訳です。
もちろん、電子書籍化されて販売されていない書籍もあるのでたまには使う場面があるかもしれません。古本として買った書籍を裁断したいこともあるかもしれません。
でも、使う場面が初期段階に限られている機械に貴重なスペースを占有させておくのは勿体無いと思うのです。
というわけで、私は裁断だけ外注する方法を取っています。
裁断だけ外注する方法のメリット、デメリット
次に、裁断だけ外注する方法について解説します。
裁断だけ外注する方法のメリット
まず、裁断だけ外注する方法のメリットは次の4点です。
- 初期費用が安い
- 裁断機の保存場所が不要
- 刃のメンテナンスが不要
- 綺麗にできる
などが挙げられます。
初期費用が裁断機の分だけ安くなる、というのは当然ですし、保存場所が不要というのは先程述べました。
刃のメンテナンスについてですが、刃もやはり時間が経つと空気中の酸素や水分などで参加したり錆びたりすると思うんですよね。そこまでいかなくても、切れ味は最初が一番良くてだんだん悪くなっていきます。私はメンテナンスとかにあまり時間を割きたくないと思う方なので、この点も気になりました。
そして、綺麗にできる、これが大きいです。なぜなら、裁断の良し悪しがスキャンの効率にも関わるし、何より完成した電子書籍の読みごごちにも関わります。以前、2010年ごろ、先述の裁判例が出る前に電子書籍化代行業者に裁断から電子書籍化まで全てお願いしていた頃のことですが、業者さんに頼んでいた中にも紙面が斜めになったりしていたことがあったんですよね。業者さんに修正をお願いしても修正は不可とのこと。ここでわかったのは、綺麗に裁断されている中で少しでも斜めになっていたりしたら読むときにとても気になる、ということでした。これは性格にもよるかもしれませんが、スムーズな読書や勉強においてこんなところで余計なブレーキをかけたくないなという風に思いました。自分で裁断すればやはり多少の歪みは出てくると思います。特に、一冊まるごと裁断できるような機械は本格的なものを揃えようとすればとても大きいものになります。自分で買えるような裁断機はそのような業者用の本格的なものに比べてやはり物足りないものになります。特に、勉強に使うテキストは加工して何度も何度も読むものです。普通の書籍のように1度読んだらそれで終わりではありません。ですから、なるべく綺麗に仕上がるように気を使うことは後々の勉強の効率やモチベーション維持にも繋がるように思います。
裁断だけ外注する方法のデメリット
一方、裁断だけ外注する方法のデメリットは次の3点です。
- 気軽に裁断できない
- 送料がかかる
- 日にちがかかる
書籍を箱に詰めて送ったりの手間がかかるので気軽に裁断できないんです。返送料もかかるので、どうせやるならまとめて数冊やったほうがお得なんです。ですから、1冊や2冊データ化したい時には困りますね。気になる書籍をついで買いしてまとめてやってもらうとかすると、結構書籍代がかさんだりします。
Amazonなどのネットショップからの直送だとネットショップから裁断業者さんへ直送すればいいので梱包の手間は減ります。送る際の送料も節約できるので財布に優しいですね。
あと、日にちがかかるのもデメリットです。今日欲しいと言って今日できるものでは有りません。送るのに最低1日、裁断は早ければ到着後すぐにやってもらえたりしますが運悪く混んでいたら何日かかかります。そし返送にまた最低1日。つまり、いくら早くても最低でも2日、運が悪ければもっとかかることになります。ですから、欲しいものは余裕を持って裁断をお願いしておくに越したことはありません。
では、最後にまとめとして、最終的に私がやっている具体的手順を書いておきます。
具体的手順
私がやっている具体的な手順は次の3つのステップになります。
- ①書籍を裁断業者に送ります。
- ②裁断されて返ってきた書籍をスキャンします。
- ③スキャンされた電子データをOCR処理します。
②のスキャン作業と③のOCR作業を自分でやるようにすれば適法です。この適法性は今の所、先述の平成26年の裁判例が根拠になっています。今後、法改正や新たな裁判例が出ることで変わる可能性もありますのでご注意くださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
皆様の快適な電子書籍ライフやiPad勉強を応援しております。
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