「減速して自由に生きるーダウンシフターズ」髙坂勝 著を読んでの概要と感想

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「減速して自由に生きるーダウンシフターズ」髙坂勝 著を読んで考えるところがあったので記事に書きます。

この記事はこんな方にオススメです
  • 自分の今後のキャリアアップに壁を感じている方
  • 今の会社の成長性に疑問を持っているが一歩踏み出せない方
  • 大量消費社会に疑問は持っているが何をしたらいいかわからないと思っている方
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目次

概要

この本を、ざっと説明するために、次の2つの視点で大きく分けてみました。

  • 著者の人生の軌跡
  • 著者の哲学

著者の人生の軌跡

まず、著者の人生の軌跡が描かれます。

サラリーマン時代。最初は出世のため、会社のために脇目も振らず働く日々。早い出世に快感を覚えたと書かれています。

でも、無駄に大量消費をして取引先や環境などに負荷をかける働き方にいつしか疑問をいだき始めます。そして遂に会社を辞めます。

会社を辞めた後、すぐに起業するかと思えばそうではなく、1年間、旅に出ます。

その理由はこの3つだと書かれています。

  • 世界を知るため
  • 過去を棚卸しし、未来を見据えるため
  • できることを増やすため

この旅の箇所は、旅で体験されたことや感じたことなども描かれていて読み応え抜群でした。何気なく不自由のない暮らしをしている自分にとっては、「やっぱり自己成長のためにもたまには旅に出ないといけないな」と思える箇所でした。

旅から帰ってからは、著者ならではの修行期間が始まります。全くの初心者からの飲食店開業。初心者から、というのが、新しいことにチャレンジしようとする自分にとって勇気づけられました。

著者は地方で飲食店をやっている友人の店で飲食業のいろはを学ぶとともに、他の飲食店をも掛け持ちしながら働きます。多様な視点現場で物事を学ぶ、というのって大事なんだなと思いました。

したくないこと」を学ばれた、というのも、印象的でした。ChatWorkの創業者、山本敏行さんのご著書にも「やらないこと14か条」というようなものが書かれていたのを思い出しました。したくないことを決める、という発想、起業のときは大事かもしれませんね。

そして、色々な学びを得た後、ご自分で飲食店を開業されます。

その飲食店、いきなり、「ヒマな店を目指す」というから面白い。しかも黒字。なぜそうするのか、それこそこの本の醍醐味ですので、皆さん、読んでみて下さい。

著者の哲学

そして、お店の経営と関連付けながら、著者の哲学が語られていきます。その哲学は、経営哲学でもありますが、著者の人生観、世界観とも関連付けられた人生哲学とも言える内容になっています。そして、お金の循環のあり方、自給の話から、世界の巨大な経済システム、環境問題という、大きな視点での哲学にも話は及んでいきます。

哲学とはいいながらも、身近な体験や身近にいる人達との関わりの中で描かれていきますので、とてもわかりやすく読めます。

そして、著者自身の今後のプランと、文庫版にあたって書き加えたその後の実際の展開も書かれて本は締めくくられています。

私にとって

次に、この本は現時点での私にどんな思いや感想を抱かせたか、書いてみたいと思います。

スモールスタートでいい

起業の際、金融機関から融資を受けて起業するかについて、多くの方は頭によぎるかと思います。商工会議所などでやっている起業セミナーでも、私が受けたときは融資についてかなり多くの時間が割かれました。

著者も、ある程度の開店時の設備投資の必要な業種である飲食業という業種のため、当初は融資を受けることを検討していたそうです。でも、開店資金が出来たことから、無借金で店を始めたとのことです。しかも内外装も自分でする、という。大工仕事初心者なのにですよ!

このメリットは、自分が居心地良く使いやすい空間に出来たことや、修繕が自分で安くできるなどもありますが、そのおかげで自分に知恵と技術がついたことだそうです。手間隙かける、時間を掛ける、それによって自分に知恵と技術が身につく、そんなメッセージをお客様に伝えたいそうです。

自分で言えば、HPや販促用のSNS、バックオフィスのシステムなど。そして、融資を受けないということ。

ネットを使ったスモールビジネスであれば、手持ち資金と時間と手間暇をかければ、お金の節約だけでなく自分に知恵も技術もつく

そのことを改めて確信しました。

一人でやる

一人でやるのは、開業当初だけで、ゆくゆくは他人を雇って大きくしていくのが企業の健全な成長だと思っていました。

でも、著者は、企業の成長を絶対視することに疑問を提起します。そして、必要以上の売上を上げない、ということを最初に決めたそうです。計算過程も書かれていますが、要は、自分がしたいライフスタイルから逆算して必要な売上を決める、ということ。

目標上下5%を狙う、とのことです。つまり、目標比95%〜105%に収まればOK。それより下回った場合だけでなく、上回った場合も適正売上高に減らす対策を取るとのことです。

拡大を目指さないから誰かを雇う必要もないし、マーケティングも販促も必要ない。昼寝する自由も奪われないし、ストレスもたまらない。

結果として開業以来ずっと黒字だそうです。

拡大を目指さず一人でやる。拡大を目指す気持ちがあった私にとっては衝撃的でした。

ホンモノ同士、小さいもの同士、繋がる

ホンモノだと思う取引先とのみ繋がる、とのことです。しかも小さな会社や自営業者ばかり、との事。お互いが敬意を持って付き合える関係。その中でお互いの得意を提供し合い、心からいいものと思って紹介し、その輪が自然と広がっていく。いいビジネスを応援したい、そんな気持ちだそうです。小さなエコシステムの中で回るお金。

使っている通貨は日本の通貨であっても、気持ちの良いお金の循環を生んでいる。何も地域通貨という大それた物を介さなくても、今ある通貨で気持ちの良いお金の流れを作ることはできるんだなと思いました。

こんな関係、いいなと思います。

取引先を選ぶ。これは、サラリーマンではなかなか難しいでしょう。自営業者だからこそできるといえますが、なかなかいざそれを実行できる自営業者もまだまだ少ないでしょうね。覚悟と、自分のビジネスやお金の流れへの信頼が試されることだと思います。

自給について

これは今の自分が痛いなと思うと同時に、今の自分は本当にやりたいかな?と疑問符がつくところです。

自給生活とITと 経済的には?社会が求めているものは?

というのも、東日本大震災以降の社会を見ていると、自給をやった人より、テクノロジーやIT業界に関わる人のほうが経済的にはうまく行っているように思えるからです。

また、社会的にも、自給をやる人よりは、ITなどをうまく使ったサービスを提供できる人のほうが社会でも求められているように感じるからです。

田んぼを長年やり続けた場合の体への影響

また、田んぼを長年やり続けた場合の体への影響についても、あまりいい影響を及ぼさないのではないか、と思っています。というのも、農業をやっている人が身近にいて、中には長年接している人もいるからです。

田んぼをやっている人は、私の親を含め、多くの人が腰や膝を痛めていたり、曲がっていたりします。田んぼの草をとったりなど、腰をかがめてする作業が多いからだと思います。田んぼだと、自分の手で田んぼの水の中に手を入れて根っこから田んぼの中に生えている草を取る必要があります。根っこが水の中にあるので、草刈り機で一網打尽というわけには行きません。一つ一つ草を取るんです。しかも、水があるのでお尻をついて、なんてことも出来ません。立ったまま、手を水中の土の中に入れるんです。で、取れた草は腰につけたかごに入れていきます。取っていくうちに段々とかごも重くなります。動作のイメージとしては立ったまま、少し膝を曲げて足の前の床に片手をつける、そして、草をぐいっと引き抜く、かごに草を入れる、その繰り返しをするイメージです。水中の土に足を取られるので、取進む速度も遅いですしね。

田んぼをやっていない人の中には年をとっても背筋がピンとしている人がたまにいるのを見かけますが、田んぼをやっている人の中には長年やっている人ほど姿勢のいい人は少なくなるように思います。

また、長時間紫外線にあたっているため、いくら日よけをしっかりしたとしても、やはり肌は痛むように思います。

ただ、水をたたえた田んぼは心を和ませてくれます。特に厳しい作業をせずに日差しの強くないときに畦の縁で自由に過ごす分には、水のゆったりとした波紋や、蛙やアメンボなどの田んぼの生物なんかも楽しめてリラックスできる効果はあるともいます。

田んぼはやらずに畑だけをやる場合

田んぼをやらず畑をやっている場合は、自家菜園的な小規模な場合は、そこそこ健康的なように思います。

草刈りは、しゃがんで椅子に座ってぼちぼちやる方もおられますし、今の時代は草刈り機で立ったままかることも出来ます。熊手などで土の表面をざっと掻いて根っこが取れた雑草を拾うだけ、ということも出来ます。つまり、草取りの方法が、田んぼの場合より格段に多様で、体に負担の少ないやり方が工夫次第でかなり可能だというのが田んぼより健康に対する悪影響が少ない原因だと思います。

また、収穫時期も、作物によって様々で、工夫次第で適度な量での作業になるよう調整できます。ですので、腰や膝に悪影響があるほど根を詰めた作業をしなくても済むんだと思います。

そして、緑に触れ、作物が成長する生命力や色んな生物に触れることで、リフレッシュでき、かえって健康に良い効果があるんだと思います。

畑で取れた新鮮な野菜は、スーパーで売っている野菜より格段に鮮度もいいですしね。

田んぼでお米と大豆を自給することについて

私も田んぼの畦に大豆を撒き、お米と大豆を育てる、にチャレンジしたことがあります。

確かに、蒔く時期が適正であれば、大豆はすくすく育ちます。育っている途中の豆を取れば枝豆として食べられます。新鮮な枝豆は美味しいですよ。

しかも、スーパーではお高い黒豆も、蒔いたら普通にすくすく育って黒豆枝豆や黒豆として食べられます。黒豆はコクが合って美味しかったです。ただ、品種によっては倒れやすかったりするものもあるそうなのでお気をつけ下さい。

ただ、田んぼの畦の草をかるときに邪魔になります。草刈機で草を刈るのですが、大豆がなければ何も気にせずに刈れるのに、大豆があるせいで草刈りの効率ががくんと落ちます。

蒔き方など、もっと詰めて蒔くなど、工夫次第でうまくいくのかもしれませんが。

自分的な現在の落とし所

ということで、自分の身の回りを見て自分が考えている所では、農作業が本職でない自分としては、畑は程々に家庭菜園レベルでやり、お米はよそから買うくらいがいい塩梅の落とし所かなと思います。

ただ、できれば自分の食べるお米くらいは自分で作れるといいんだろうなと言う気持ちが、この本を読んでまた少しづつ出てきたように思います。

半農半Xと言う生き方自体は、学生時代、ある専門職の先生から、ご友人が、田舎で、半農半専門職としてやっておられるということを聞いて、ずっと心に残っていました。

この本では、半農半Xと言う生き方が、いろんな業種で、多くの人がやったらいいんじゃないかということが書かれていて、改めて今の価値観を見つめ直してみるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この本では、スモール起業をしてスモールビジネスを開業以来黒字で経営しておられる方の軌跡や哲学が主に語られています。

著者の熱量が伝わってくるような、わかりやすく心に響く著書でした。

スモール起業についても学べますし、消費経済・グローバル経済に疑問を持っている方にも、具体的な実践案の一つとしての半農半Xと言う生き方についても学べます。

農やSDGs(持続可能な開発目標)という観点から見ても実は未来的な生き方かもしれません。

もし、ご興味を持たれた方は、この本を読んでみてはいかがでしょうか。

この記事を読んでいただいてありがとうございました。この記事が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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